【飲食店経営者インタビュー】データファクトリージャパン 口井清次郎社長の”新しいファストフード”

株式会社データファクトリージャパンを設立し、日本初の生春巻き専門店「表参道生春巻倶楽部」を開業した口井清次郎社長は飲食店経営者としては異色の経歴の持ち主。

起業を志した大学時代を過ごし、保険会社に入社。
その後4年間勤めながら目標の資本金数百万円を貯めて起業を実現した。当初は映像制作の会社を設立。
15年間継続し、その間30以上のアプリケーションを開発・リリースしている。

また、芸人としての顔を持ち、今でもコンクールに出場をしているようだ。
取材中も私たちを楽しませながらお店の拘りや今後の展望について語ってくれた。

 

目標はヒットメーカーになること

口井社長はこれまで飲食店とは全く異なった業種にてサービスを立ち上げている。

例えばダイエットパートナーアプリだ。
このアプリはダイエッター同士をアプリ上で繋げて、「今日なに食べた?」などの会話をしてもらう。
一人ではなかなか続かないダイエットをみんなで楽しみながら頑張ることを趣旨にしている。

異なる業界で勝負をし続ける口井社長の仕事のスタンスについて聞いてみた。

「僕はあんまり仕事のスタンスに拘りがないですね。変な話、何でも良いんです。

時流というのは間違いなくあって、その時々に合ったビジネスを立ち上げて従業員に給料を支払えるというのを大事にしています。

根本の想いとしては「ヒットメーカーになりたい」ということだけなんです。常にビジネスモデルは考えていて、いつもノートを持ち歩いて考えをまとめています。

次にやりたいこともあるのですが、まずはこの生春巻きをヒットさせないと次にいけないので。」

 

世界初の生春巻き専門店で『新しい食文化の創造』

ヒットメーカーになる野望を持った口井社長は世界初となる生春巻き専門店を開店させた。

この生春巻きは通常のそれとは違い、ご飯が入ったのボリューム満点の1本。その大きさは直径7cm、長さ25cmとホットドッグ以上の大きさがある。

ライスペーパーに、昆布と鰹出汁で味付けをしたお米、ビーフや野菜等の具材を入れて巻いたもの。

種類は豊富で、「ビーフテリヤキ」「タコス風」「とんかつ」等如何にも合いそうなメニューが立ち並ぶ。

女性は勿論男性でも1本でお腹いっぱいになるほどの量だが、値段はテイクアウトの場合、350円からラインナップされている。

「元々生春巻きが好きで、よく友達を呼んで色々な具材で楽しんでいたんですよ。

よくある話ですが、『これ売れるんじゃない?』ってことになって。
キャッチーで安価な値段の全く新しいファストフードを創造したいなって思って、開発しました。

ご飯が入っている生春巻きは恐らく世界初だと思います。
あ、厳密に調べたわけではないので、『恐らく』ですが(笑)

ただ、生春巻き専門店は間違いなく日本でここだけ。
春巻きの専門店はあるんですけどね、揚げているので、『生』で言えば初ですね。

生春巻きって小さいイメージがあるじゃないですか?

それを払拭したかった。
生春巻きなのに1本で満足できる量なんだけど、ヘルシーなんです。
グルテンフリーで低カロリーですし、オーダー頂ければご飯はナシにして、野菜を増やすことも出来ます。
女性の常連さんなんかからはそういうオーダーを頂きますね。

米、肉、野菜のバランスを考えて巻いているので、『万能食』ってお客様には謳っています(笑)
これ一本で栄養素がきっちり採れてヘルシーなので、女性にオススメですよ。」

 

東大前駅は飲食店には穴場かも

東大前駅は文京区にある東京メトロ南北線の駅。
何故この立地を選んだのか聞いてみた。

「まず学生さんが多いエリアに絞って探しました。
東大前駅には大学が3つあるんですよ。
そうなると当然学生さんはお店の前をたくさん通ります。

今までにないモノを受け入れてくれるのってやっぱり若い人だと思うので、新しいファストフードを展開する上では学生さんが多いエリアというのが必須でした。

あとは何と言っても賃料ですね。
固定費は起業する上ではもの凄く大切だと思うので、賃料や人件費は最小限に抑えたかった。
東大前駅は本当に激安で、ここは大通りに面していて学生さんの通り道なのにビックリするくらいの値段で借りれています。」

 

個人のLINEを活用

表参道生春巻倶楽部のレジカウンターには手書きの張り紙が貼ってある。
そこには口井社長の個人LINEへの友達申請を勧める内容が記載してあり、事前予約を促している。

最近では飲食店のLINE@(店舗用のLINEアカウント)を用いることが常識となっているが、何故個人アカウントを利用しているか聞いてみた。

「個人のLINEで十分対応できるので、LINE@は必要ないです。
ランチ時間帯はとにかく混むんですよ。
お店の外にまで行列ができています。

行列を作ることも勿論戦略の1つなのですが、出来るだけ事前予約をして欲しいですね。

その事前予約をLINEで受け付けるようにしています。
事前予約をして頂くと、事前の準備ができるので回転率が上がりますし、お客様も待たずに済みますからね。
たまに事前予約が入っていないのに大きな声で『事前予約のお客様はいらっしゃいませんかー?』と言ったりしてアピールしています(笑)」

お客様との距離が近いのも表参道生春巻倶楽部の魅力の1つなのかもしれない。この点は元芸人である口井社長の強みに違いないだろう。

 

広告は一切使わない。

近年飲食店も広告を用いることが常識となっている。
食べログやグルナビ、ホットペッパーといった媒体に課金をして上位表示をさせるものや、Google等のリスティング広告、LINE@もその1つだ。

確かに『お金の掛け合い』になっていると悲鳴をあげる飲食店経営者も多いのだが、口井社長は広告にお金は一切かけないようにしている。広告戦略について聞いてみた。

「お客様の反応や売り上げが分からない状態で、広告費にお金を使うのは無駄だと思います。
特に最初なんて、こちらが美味しいものを提供しているつもりでも、お客様からのネガティブな口コミが付くこともありますよね。
お金をかけて不評を書かれるってナンセンスじゃないですか?

最初は少ないかもしれませんが、来店頂けるお客様に店の味を評価してもらう。そこで改善を重ねていってベースを固めることに重きを置いていますね。

それにエリアの特性として、普段東大前駅を使わない人が、この駅に降りて食事をするってよっぽどの名店じゃないとしない行動ですよね。
私はとりあえず周辺の人たちを集客してご満足を頂けるお店作りに励みたいと考えています。

そういう意味でも東大前駅は最高の立地だと思っています。
メインターゲットが学生さんなので、安くて美味しいものなら広告をかけなくても口コミで広がるかなと。」

 

リピーター獲得の仕掛けは?

「リピーター集客については、一言『味』に尽きますね。
もっと言うと『値段と味』。
コスパが良くて、美味しいって思ってくれたら勝手にリピートしてくれるって思っています。
値段もワンコイン以下なので、オヤツでの利用をしてくれたら嬉しいですね。

実際に1度ご来店頂いたお客様の多くは連続で来てくれます。
5日連続で来てくれるということもザラです。
だから6日目は少し寂しいんですよね。
9日目くらいにまた来てくれて「やっぱ美味しいかったんでしょ?!」みたいな(笑)」

広告についてもそうだが、口井社長は「良いものを作ればお客様は付いてくる」という信念を強く持っている。

広告戦略を練って展開していくことは経営戦略として正解であることは間違いないが、口井社長のように、『お客様とトコトン向き合って良いものを提供することに専念する』ということも正解の1つなのであろう。

 

テイクアウトは100円引き

表参道生春巻き倶楽部ではイートインとテイクアウトでは値段が異なる。テイクアウトだと表記価格の100円引きとなるのだ。

必然的にテイクアウトが増えるようなのだが、何故テイクアウトに拘るのだろうか。

「将来多店舗化をする為ですね。
私はこの生春巻きを新しいファストフードにして、食べ歩きをして欲しい。その為には狭小地での展開が必須なのです。

先ほども言いましたが、固定費はトコトン抑えなければならなくて、『狭い場所で少人数で回せる店』を作りたい。
なので、テイクアウトのノウハウをここで得なければならないと考えているんです。

あと、私はドリンクで稼ごうとは思っていません。
一応有料のドリンクメニューもあるのですが、混雑時には正直オーダーして欲しくない。

だからルイボスティーやジャスミン茶を無料で飲み放題にしてるんですよ。並んでいる間にアンチエイジングの飲み物を飲んでもらうようにしています。

飲食店はお酒で稼ごうと思ったら依存してしまうと思っています。
本業である食べ物をキチンと売って安定して稼げるようになったら強いと思うんですよね。」

 

きめ細やかなサービス

口井社長はフランクな人物である。どんな話にも必ず笑を交えてくるのは「流石は元芸人!」といった印象なのだが、お客様への配慮には抜かりがない。

前述したルイボスティーの無料飲み放題もそうなのだが、店内の至る所に面白文章が書いてある。そう、ネタだ。

行列を並ぶお客様がネタを読んで退屈しないように、との配慮らしい。

「今でも面白エピソードなんかはスマホに書いて保存していますね。スベらない話的な。
今の学生さん達って並んでる間、スマホをいじったりしてるんですけど、こうやって壁に貼っていると結構見てくれます。

たまに話題にしてくれたりすると嬉しいですね。」

 

次は表参道に出店したい。

「お店の名前に『表参道』って付いてるんですけど、これは銀ダコを真似ました。
銀ダコも「いつか銀座にお店を出したい」っていう想いから付けたと聞いているのですが、私も同じ。

生春巻きの具材は、ご飯に合うものであれば基本的に何でも合うので、常にメニューを考案しています。
例えば和のテイストで『タラコちりめん』とか。

東大前駅では『安くてボリューミー』を意識していますが、今後ロブスターサンドのような高級食材を使ったメニューを作ろうと考えています。

それらを表参道で出して「表参道生春巻き倶楽部」の表参道進出を実現したいですね。もちろん表参道だけではありません。

将来200店舗の生春巻き店を作っていきたいと思っています。」

ご飯が入った生春巻き。新しいファストフードの創造を目論む口井社長の活躍に期待だ。

>>表参道生春巻倶楽部<<